あおいそら

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due

「…えっと、大丈夫?」

「…これが大丈夫に見えるのかぁ?」

「見えないね」

 雨降り、母に頼まれた買い物が終わった帰り道…血まみれの泥だらけでビチャビチャのスクアーロが地面に落ちていた。
 しゃがみ込んで声をかけてみたけど、やっぱり見た目通り元気がないようで…声にハリがなかった。
 どうしようかと悩んだが、そのままにしておくわけにはいかない。と決断して、差していた傘を仕舞って、スクアーロの腕を取って肩を貸す形で起き上がらせる。

「う゛お゛ぉい…どうする気だぁ…」

「近くに私の家があるの。
 そこに連れて行って治療するから…」

 だから、頑張って歩いて。と言ってからゆっくりと歩き始めた。
 最初は渋っていたスクアーロだったが、次第に諦めたのか、自分で歩いてくれたのでなんとか家まで連れて帰ることに成功した。

「ただいまー!
 母さん、ちょっと友人が倒れてたから…私の部屋に連れてくねー!!」

「あらあら大変ねぇ。
 なにか母さんに手伝えることがあったら言って頂戴ね」

 ゆるい母の返事に一安心しながら、机に買ってきた荷物を置いて、自分の部屋に向かった。
 そして、すでに意識が朦朧としてそうなスクアーロをベッドに寝かせる事に成功した。
 寝かせたら、ビッショビショのグッチャグチャな服…下着以外を剥ぎ取って、タオルで水分を拭き取って…布団に押し込む。
 どうやら熱も出ているみたいなので、濡れタオルを額に置いてからスクアーロが起きたら服どうしようかと考えた。
 さっきまで着ていたのは血や泥で汚いし、そもそも破れている。…仕方から新しいのを買ってあげるか。
 机の引き出しに入っている、暇があればバイトして稼いだお金が入っている封筒を取り出して部屋を出た。




 買い物が終わって戻ってくると、どうやら目を覚ましたらしいスクアーロが起き上がっていた。

「あ、起きた?」

「あぁ。…ここはお前の部屋かぁ?」

「そうだよ。
 …あ、病人なんだから気にせず寝てたら良いよ」

 そうだった。スクアーロ熱でてるんだった。と思い出した私はスクアーロの両肩を押して強制的に寝かせる。
 どうやら熱で力も出ない様子の彼はすんなりと布団に収まった。
 それに満足しながら、すっかりぬるくなって布団に落ちている濡れタオルを拾い上げて、水に浸して絞って…スクアーロの額に押しつけると、気持ちよかったのか目を閉じていた。


「なぁ…何で俺、服…」

「…フク?あぁ、服ね。
 大丈夫、新しいの買ってきてあげたから!」

 無言に耐えかねたのか、気になっていたのかは分からないが、唐突に言い出したスクアーロに一瞬首を傾げたが、服買ってきたよ!と見せる。
 服とズボンのサイズは、彼が着ていた服のタグから確認できたので着れるハズだ。

「いや、そうじゃなくてだなぁ…。
 何で今俺が裸なのかって事をだなぁ…」

「え、パンツは履いてるでしょ?」

「女がパンツなんて言うんじゃねぇ!」

 顔を真っ赤にしながら急に叫んだスクアーロにビックリした。
 やっぱり下着って言った方が良かったのかな…。

「まぁ、パンツ云々は置いといて。
 君が着てた服は汚いから引っぺがしたよ」

「お、おぅ…」

 どこか困った顔になったスクアーロに、珍しいものを見たなぁ。なんて思いながら、早く寝て熱、治してね。とニッコリ笑っておいた。

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