あおいそら

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えにし

 と、前回は簡単そうに縁を〜云々言いましたが、縁を辿るのは簡単なことじゃない。そもそも簡単だったら、迷子になんてなるわけがないのだ。
 特殊な術式を組み込んだ指輪に霊力を注ぐことによって、私でも対象の縁が糸として見えるようになる。その中で一番太いのが、大概主従の縁だ。

「ふむ、どうやらこちらのようデスね」

「そうかそうか。
 して、そなたは誰だ?」

「ですから、ワタシは迷子捜索係。政府のお役人デス」

 さっき言ったのに、また聞いてくるなんて…まさかボケ老人になっちゃった?なんて失礼なことを考えながら、いいからこちらですよ!と強制的に誘導するべく手首を掴もうとすると…

「俺はこっちの方が好きだなぁ」

 だなんて言って、事もあろうか三日月宗近は私の手を握って歩き出す始末。
 まぁ、行き先は合っているし、無駄に事を荒げる必要性は皆無なので…渋々着いていくことにする。



 時折、この角を右へ。などと誘導していると、正面に白と黒の半狐面の審神者が加洲清光を引き連れて…道端のゴミ箱を蓋を開けて中を確認しているという、異様なモノを目撃した。

「うぅ…三日月。俺の三日月どこ行っちゃったんだよ…」

「落ち着いてよ、あるじ。
 いくらウチの三日月でも…流石にゴミ箱には入ってないと思うよ」

 覗き込む審神者の肩を優しく叩く加洲清光はともかく、半狐面の審神者と私の隣の三日月宗近の縁がガッチリ繋がっているのが見えた。
 …お察しの通り、貴方の三日月はゴミ箱にはいないようですよ、審神者さま。

「おや、主。
 俺はそんなところには居らぬよ」

「…みっ、三日月ぃいいい!
 どこに行ってたんだよぉおお!!
 あんなに迷子になったら端末で連絡しろって言ったじゃん!?」

「あぁ、そうだったな。すっかり忘れておったわ」

「あああああああああ」

「あるじ、落ち着きなよ。
 ほら、深呼吸。すってー、はいてー」

「スーーーハーーーー」

「はっはっは。良きかな良きかな」

「いや、全然良くないからね!
 そもそもの原因はアンタだし」

 漫才のようにテンポ良く進む会話をそっと見守っていると、突然まだ繋がれていた手を引かれ、よろけるように近付くと…三日月宗近にそっと後ろから肩をホールドされた。

「そんなことより主よ。紹介する…迷子捜索係だ」

「えっと…どういうことかな??」

「俺に聞かないでよね」

 唐突の三日月宗近の発言に、驚く審神者さんと加洲清光にここまでの経由を説明すべく、口を開いた。

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