あおいそら

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まいご

√藪蘭 in 三日月宗近


 結局私は、考えた末に政府預りとなった。
 とはいえ、練度1で戦闘力皆無なうえ、亜種という特殊な立場も相まって…刀剣男士や審神者が利用する繁華街というか、大型ショッピングモールの迷子捜索係に任命された。

 政府の話によると、様々なことに興味を示す短刀を始め、三日月宗近や鶯丸、髭切といったマイペースな太刀や、蛍丸が迷子になることが多々あり…迷子センターを設置したものの、刀剣男士は刀の付喪神で迷子捜索係より戦闘や警護の方に付くものが多くて困っていたらしい。
 じゃあ、人間がすれば良いじゃね?と思うが…迷子になった刀剣男士の主を探すというのは大変で…こちらは見ただけでは判断が出来ず、逆に主と刀剣男士を結ぶ縁が見える人間は一握り。
 そんなわけで人数が足らず難儀していたらしく、超ありがたがられた。


 そんなこんなで迷子係の私の仕事は、主にパトロールという名の巡回。
 内番の袴に似た白黒の和服姿で、"迷"と書かれた薄い和紙を顔にくっつけ、髪を結い上げて高い位置でポニーテール姿。ついでに、まじないで自分から声をかけない、もしくは迷子係の私を必要としている人だけが私に気がつくというもので、しかも会話が終わり、私から離れると私がどんな姿だったのか記憶が朧気になるという凄いまじないも付いてくる!
 これなら亜種の私でも目立たず、たとえ見られたとしても千子村正だとバレることはほぼないだろう。たぶん!
 なんという、ホワイトな職場!!ありがとう、政府!!!

 毎日感謝を捧げながら、第二…いや、前世を含めると第三?の人生を楽しく過ごしている。


「おや、主はどこだ?」

 最近行きつけのオープンカフェで優雅に紅茶を飲んでいると、キョロキョロと辺りを見渡す三日月宗近が視界に入ってきた。
 どう見ても迷子である。

 飲んでいた紅茶をグイッと飲み干し、お会計を済ませ…未だに右往左往している三日月宗近に近付き、声をかけた。

「三日月宗近殿、どうやら道に迷われたご様子…ワタシが貴方様の主の所までご案内しまショウ。
 ワタシに着いてきてくだサイ」

「あい、分かった。
 して…そなたは誰だ?」

 一つ頷いた三日月に迷子捜索係と一言告げて、三日月から伸びる太い主従関係縁の糸を探して…その糸の先へと向かった。

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -