あおいそら

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同じ顔

- 同じ顔だけど嫌いだなんて言わないで! -

 夏直前、伸ばしていた髪を思い切ってバッサリとショートにした。
 前髪もヘアピンで上げてとめて視界もすっきり、意気揚々と電車に乗り込んだ。
 今日も満員電車で届かない吊革をギッと睨みつけながら、なんとか隙間を見つけて体をねじ込む。
 揺れる車内でほっと一息ついて、ギュッと鞄を握りしめた。


 ・・・・?
 視線を感じる。
 今まで視線をここまで激しく感じた事はなかった。
 誰だろう、こんなに見つめてくる輩は。
 そう思って、足元を見ていた視線を正面に向けた。

 学生やサラリーマンのおじさま達を挟んで、誰かの姿が見えた。
 その此方を見ている誰かは、どうやら学生みたいだ。

 目が合った。

 珍しい銀(白?)の髪色で、綺麗な翡翠色の瞳で此方をギリリとみt....睨みつけている。
 何故か歯ぎしりが聞こえてきそうなほど恨みのこもった視線をこちらに向けている。

 誰だろう。
 こんな綺麗な人に恨まれる覚えは、これっぽっちも身に覚えがなかった。

 見つめ合って数分、停車駅に着いたらしい電車はドアを開けた。


 人混みが流れる。
 流れないように必死に抵抗して踏ん張っていると、誰かに強い力で二の腕を掴まれた。
 あまりにも強引で驚いて掴んだ人を見上げるとさっきギリギリ睨んでいた人だった。

 近くで見るとますます美人で、何故引きずられてるのかもわからずジッと見つめてしまった。
 こっちを見ていた彼は、どこかを見ていて此方を見ていなかった。

 気がつくと、私は降りる予定もつもりもない駅で降ろされていた。
 訳がわからない。


「・・・・あ、あの?」


 勇気を振り絞って、声をかけてみる。
 思ったよりか細い声だった。

 私をここへ連れてきた彼を頭の先から下まで見つめてみる。

 学ランの裾が幾重にも分かれている変わった制服を着こなしている。
 変わった制服=BASARA学園 という方程式が出来上がる。
 そうか、この人はBASARA学園の学生....。

 そっと顔を見てみると、目を白黒させて驚いている。
 そういえばまだ、腕、掴まれたままだ....。


「三成!何やってるんだ、おめぇ!?」


 ホームの人混みをかき分けて、ちょっとガタイの良い青年が走ってきた。
 しかもヘソ出しルックという異形な制服。
 あぁ、こいつもBASARA学園か。
 思わず少し遠い目をしてしまった。



「!?」


 私を掴んでいた彼は走ってきたヘソ出し君を見て飛びずさった。
 そして、私とヘソ出し君とを交互に見つめ、指差し、叫んだ。



「ドッペルゲンガー!?」


 はぁ?


2014/07/26


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