あおいそら

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弁解させてください

 主上を持ったまま、誰にも咎められずにすんなりと空き室に入ることができた。
 その部屋に入った瞬間に主上は人型に変形?して、おもむろにイスに座り口を開いた。

「で?」

「…と仰いますと?」

「昨日と見た目違うし。
 そもそも、その姿はどういうことなのか説明して欲しいなー」

 小首を傾げていう主上は、一見可愛らしいが…中身がオッサンだと私は知っているので、微妙な気持ちになる。

「説明、ですか…。
 そうですね、簡単に言うと私は異世界転生者なんですよ」

「…やっぱりそうだったのか」

「まぁ、主上達とはまた別の世界から、なんですけどね」

 ふむふむ。と頷いた主上を見ながら苦笑すると、どういうことだ?と詰め寄られたので、簡単に説明する。

「主上も聞いたことがあるかと思うんですが…アニメや小説にトリップする話あるじゃないですか。
 …それです、ソレ」

「…え?」

「主上が主人公で、智慧之王<ラファエル>さんと共に苦難を乗り越え、そして地球に戻る話、ですね。
 完結に言うと」

 キョトンとしている主上を黙って見つめる。…きっと、主上は脳内でやり取りしているのだろう。
 主上が口を開くのを待つ。

「…今の姿は前世?」

「はい。
 名前は雨草 クコ、社会人でした。
 ちなみに昨日の姿は2つ上の前世の兄をイメージしてます」

「へぇ、お兄さんいたんだ」

「はい、大好きな兄でした。
 もちろん今の兄も、ですけど」

 何でこんなこと話しているんだろうか、と今更恥ずかしくなり視線を逸らした。

「…それで、休暇中に何するつもりだったんだ?」

「そうですね、今まで全く使わなかった"変形者<カワリモノ>"を使って、別人として魔都を楽しみたいと思いまして。
 一般人として迷宮攻略、とか楽しそうだと思いません?」

 ニッコリというよりニヤリと笑って主上を見つめると、主上も私を見つめてニヤリを笑った。

「今から行くのか?」

「えぇ。
 パーティメンバーを募集してる野良チームに入れて貰って、制限プレイしてきます」

「そっか。
 じゃあ、俺は迷宮の最下層で見てることにするよ」

 ニヤニヤと笑う主上に玄関まで見送られ、迷宮へと意気揚々と向かった。
 どこかに手頃なメンバーを募集してる良い感じの冒険者達をカモ…じゃなくて、探すことにしよう。

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -