あおいそら

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cinque

 ラッコの水槽に辿り着くと餌やりの時間だったらしく、沢山の人が集まっていたが…目立つ容姿と目付きの悪さが原因なのか、スペルビの周囲は若干隙間ができている。
 おかげさまで、スペルビの隣にいる私も楽々である。

「お、始まるみたいだぞぉ」

 ニヤリとスペルビが笑ってラッコの方を見ているようだけど…私は全く見えない。

「…ねぇ、全く見えないんですけど?」

 文句を言いながらスペルビの服の裾を引っ張ると、一瞬首を傾げ、あぁ。と納得した表情をしたスペルビに抱きあげられて、肩に乗っかる形に。
 やべぇよ、いくら私が標準より小さくて軽めとはいえ…大の大人であるにもかかわらず、あっさり肩に乗せるとか…本当に人間か?あぁ、これがヴァリアークオリティー。

「どうだ、見えるかぁ?」

 確かに見えるけど、とても恥ずかしいです。…どこのバカップルだよ。
 恥ずかしさで真っ赤な顔をスペルビの頭に抱きつく事で誤魔化す。…なんか余計に恥ずかしくなった気もするが、きっと気のせいだろう。

「おい、クコ…?」

「…大丈夫」

 グッ。と恥ずかしさを耐えて顔を上げると、飼育員のお姉さんが微笑ましいものを見る表情で私を見ていて…精神的に死にそうになった。

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -