あおいそら

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02

年下の友達と 02

 杖代わりにとピオニーに渡されたヒノキ?の棒を握りしめて、ジェイドが踏みしめた場所を同じように踏みしめながら、ゆっくりと辺り警戒しながら進む。
 先頭は好奇心旺盛なピオニー、続いて冷静なジェイド、そしてジェイドを壁にするようにビッタリつきまとう私、の後ろでオロオロと雪にまみれながら慌ててついてくるサフィール。
 謎なパーティメンバーでケテルブルク出てすぐの場所で、魔物を観察・デストロイ。

 ケテルブルク付近の魔物は強い敵ばかりだと思っていたが、案外なんとかなっているので…ゲームとは違い弱い魔物もいるのか、それともゲーム開始時より前だから魔物が弱いのか…?
 そんなことを考えながら、発見したウルフ系の魔物をピオニーが尻で倒し、キラキラと消えていくのを眺めた。…イカすヒップとかガチで何やってるんですか。

「…ふぅ。
 あらかた倒し終わったし、そろそろ街に戻るか!」

「そうですね、結構データもとれましたし…戻りましょう」

 何故か両手を腰に当てて仁王立ちで言い放ったピオニーにジェイドはいつも通りの表情と口調で返事をしながら持っていた槍を一振りして血脂を振り払い、何気ない動作で私の腰に手を回して、行きましょう。と一声かけてから歩き始める。
 こんな感じでジェイドの謎な紳士ぶりを見せつけられるというか、体験させられるのも良くあることなので、逆らうことなく一緒に歩く。

「待って!置いてかないで!!」

 来たときと同じように意気揚々と先頭を歩くピオニーと、その後ろをついて歩いている私とジェイドのさらに後ろから聞こえる泣きそうな声はサフィールだ。
 その声に振り返ると、鼻水と涙を流したサフィールが盛大に転んだらしく…雪まみれでアワアワしているのが見えた。
 サフィールって、ドジっていうかウッカリって言うか…ほっとくといつも不幸にあって、それからジェイドに無視されてピオニーに笑われる。
 今回も一瞬で見なかったことにしたジェイドから離れて、大爆笑しているピオニーの声をBGMにサフィールに駆け寄る。

「"癒やしの光よ…ヒール"!
 サフィ、大丈夫?
 ほら、これ使って」

 すぐにヒールで治療を施し、声をかけながらポケットのハンカチを押しつけると、サフィールは私のハンカチで顔をぬぐってから、ありがとう。と恥ずかしそうに呟いた。
 こういう所がジェイドやピオニーと違って可愛いところだと思う。…まぁ、もやしっ子のサフィールも私より身長が高いから、ちょっとアレかもだけど。

 色々なものでぐっちょり汚れたハンカチを私に返そうとしてきたサフィールに、洗ってから返して。と突っぱねながら、手首を掴んで早く立ち上がるように催促する。

「ご、ごめん…早く帰らなきゃ真っ暗になっちゃうよね」

 びくびくしながら立ち上がったサフィールから手を離し、転倒事故が起らないよう今度は私が最後尾でサフィールの後頭部を監視しながら街に戻ることにした。

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -