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▼ 想い
暫く頭を机にくっつけていた正一は、ゆるゆると頭を上げた。
「ゴメン、みんな先に綱吉君の部屋に戻っててくれるかな…?」
「…分かった。
先行ってるね」
正一の声に頷いた沢田君は反発する獄寺をなだめて、二階に上がるように促す。…私も向かおうと立ち上がると、正一に腕を掴まれて止められた。
「…クコちゃんに伝えたいことがあるんだ」
真剣な表情の正一は私の腕を逃がさないとでもいうように、ガッシリと掴んだままで…一体何を言われるのか身構えた。
お互い無言のまま、私達以外誰もいない部屋で見つめ合った。
「えっと、正一君…?」
「…クコちゃん!
僕と、結婚してく…じゃなくてっ、結婚を前提に付き合ってください!」
叫ぶように言い放った言葉に、一瞬思考が停止する。…正一は何て言った?え、結婚??
すぐには理解できなくて、呆然と正一を見上げていると…慌てた様子で正一が、返事は今すぐじゃなくて良いから!と掴んでいた手を離して私から後ずさるように離れた。
「私でいいなら、いいよ」
「…え?
クコちゃん、いいの…?」
「いいよ!」
赤くなった顔を両手で隠しながら告げると…正一が、嘘じゃないよね?と自分の頬を抓った瞬間、ガチャリとリビングのドアが開いた。
「丸く収まったみてぇだな、正一」
堂々とした様子で部屋に入ってくるリボーンと、ごめん聞いてた…。と申し訳なさそうに入ってくる沢田君に古里君。それから笑いながら入ってくる山本に顔をしかめながらやってくる獄寺。
…みんな盗み聞きしてた?
「う、うわぁああああ!!
全部聞かれてた!!?」
「おう、バッチリ録音しておいたぞ」
ニヤリと笑ったリボーンの手には録音機が握られていて…真っ赤な顔の正一はそれを全力で奪い返そうと走り出すが、リボーンは山本へ、山本は獄寺へと録音機は移っていく。
完璧に弄ばれてる正一を見ていると、なんだか笑えてきた。
「…これからもよろしくね、正一」
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