あおいそら

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雑種

――機は熟した。

 といっても、籠城に耐えきれなくなっただけだけども。
 そして私はザンザスの隣でご機嫌を取りながら、もしもの時に加勢するべく待機していた。
 途中、ベルの兄のジルが――。とかっていう報告が入ったかと思うと…城が崩壊した。

「…チッ」

 崩れ落ちてくる城の壁や天井を驚いて見上げた瞬間…落ちてくる瓦礫をザンザス匣兵器…ベスターによって守られた。
 なぜか、ザンザスの膝の上に強制移動したが。

 そして、大きく開いた穴の向こうには…空飛ぶ豪華な椅子に座ったベルそっくりな誰かと、その周りを飛び交う蝙蝠、そして厳つい色黒のオッサンが宙に立っていた。
 ベルそっくりな誰か、はきっと兄のジルとかいうヤツだろう…昔ベルから聞いた気がするし。
 そのジルは、14歳の沢田綱吉に負けて凍らされた。と安い挑発をしてきたが…それを気にした様子のないザンザスは…ひとつ欠伸をしてから、来い。と指を曲げて合図した。


 ザンザスの荒い挑発に乗った厳ついオッサンは巨象を操るらしく、雨属性の炎をまとった巨象が突撃をしてきたが…これもベスターが止めた。
 さすが、ザンザスの匣兵器・ベスター…可愛いだけじゃなくて強い。

「沢田綱吉の名をほざいた以上、てめえらはここで…かっ消す!」

 思った以上にキレていたザンザスは、ベスターに指示をして巨象の動きを封じた。
 …そしてようやく敵はベスターの存在に気がつく。が、雑種[ミックス]だとかと暴言を放ち、往生際悪く楯突いてきた。
 まぁ、それもベスターで止まってしまう程度のものだったけれど。

 そして止めをさす為、ザンザスが右手に炎をまとわせた瞬間…私を含め、ザンザスとベスターも身体から血が吹き出した。
 激痛の走る中、私のお腹に回されていたザンザス手に力がこもるのが分かった。

「…ベスター」

「ガァォオオ!」

 ザンザスの呟きに呼応するように力強く吠えたベスターは、敵巨象を撃破した。

「てめぇらは本気で俺達を怒らせた」

 一気にザンザスの顔に痣が浮かび、その怒りのほどを知ることができた。
 そして、ベスターの体にも虎の模様が浮かび上がった。

「雑種が劣ると、誰が決めた?」

「雑種は強く丈夫で賢い…それを知らないなんて、可哀そうだね」

 敵を睨みつけ、そう言うザンザスに相槌をうつ。
 まぁ、私のは犬の場合だったと思うけど…。


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