▼ 明日のことを言うと鬼が笑う
- 泣いて暮らすも一生 笑って暮らすも一生 - 松野くんと出会ってから数日…。
時々、松野くんを見かけるようになった。
ある時は薄暗い路地裏でネコと遊んでいたり。
またある時はCDショップでお買い物しているのを見かけたり。
また別の時はパチンコ屋さんに入っていくのを。
流石に、女の子達と仲良く歩いてるのを見た時は2度見しちゃった。
そういえば、橋の上でたたずんでいるのも見た気がする…。
でも見かけるだけで、おしゃべりとかは出来ていない。
なんだか、忙しそうだったり、タイミング逃しちゃったり、声掛けずらかったり。
本当はもっと仲良くなりたい…。
次こそは、次こそは話しかけるぞ!と何度目になるかわからない気合を入れる。
とりあえず、今日はこの角を曲ってみよう…!
そう意気込んで曲がると…
「…松野くんが6人!?」
「あっ、シキちゃんだー」
6人ともカラフルなツナギを着ていて、その中の黄色の松野くんが手を振りながらタタタッと走ってきた。
他の松野くんは不思議そうな顔でコチラを見ている…。
「えっと、松野くん?」
「あい!十四松でっす!!」
「えっと…?松野くん、ご兄弟沢山いるんですね」
「十四松でいいよ!」
何してたの、野球?とニコニコ話す松野くんを見て、会えた嬉しさと、見れた笑顔で胸がいっぱいになる。
しかも、名前で呼んで!なんて言われちゃって…嬉しすぎてどうしよう!
「十四松、この子…誰?」
「そうだよ!
お兄ちゃん、女の子と知り合いになったとか聞いてないよ!?」
「シキちゃん…だったかな?
十四松兄さんとは、どういう関係なの?」
松野くんの兄弟にいつの間にか囲まれて、オロオロしていたら松野くんが、シキちゃんとは、友達!とキッパリ言ってくれたおかげで助かったし、嬉しかった。
もう私と松野くんは友達…!
「へぇ、そうなんだ…」
「じゃあ、十四松の友達に自己紹介しなくちゃ!
俺、長男のおそ松」
「次男、カラ松だ。
よろしくな、カラ松girl…」
「三男、チョロ松。
十四松が迷惑かけてたら、ゴメンね?」
「四男、一松」
「五男、十四松でっす!」
「って、十四松兄さんまで名乗ってどうするの…?
僕、末弟 トド松。よろしくね!」
6人全員名乗った後、示し合わせたかのように、よろしくね、シキちゃん!と一斉に言われて、囲まれて。
ただ頷くだけが精一杯だった。
「あっ、シキちゃん。
明日また会える?」
急に松野くん…紛らわしいから十四松くんと呼ばせてもらおうかな…。
十四松くんが、小首を傾げながら聞かれたけど、突然の事で上手く頭がまわらない。
返事もできず、オロオロしていると悲しげな顔で、忙しいの…?と十四松くんに言われて思わず、暇だよ!と叫んでしまった。
私、いま恥ずかしすぎて、顔が真っ赤だと思う…。
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