雨の勝負の結末(2/3)

 


「ざまぁねえ!!
 負けやがった!!!
 カスが!!!」



静まり返った夜中の並盛中学校に響き渡るのは ぶはあっ  はははは  はははは と言うボスの高笑いだけだ。
そして気が済んだのか、ボスは笑うのを止めると「用済みだ」と静かに声を漏らし、右手を構える。



「ボスが直接 手をくださなくとも」

「僕が やってこよーか?」



生まれて初めて敗北を味わったスクアーロにみんな容赦ない。まあ、いつもありふれた光景なのだが。

しかしそこに タッ と割って入るのは



「お待ちください  」



いつも淡々と話を進めるチェルベッロだ。



「  今 アクアリオンに入るのは 危険です
 規定水深に 達したため 獰猛な 海洋生物が放たれました  」



スクリーンには最深部の方で巨大な扉が開かれ、中からただならぬ雰囲気を醸し出しながら遊泳する巨大な生物が微かに映し出され、カメラが切り替わり、山本武とくたばったスクアーロが映される。



「ちょ… 待ってよ
 スクアーロは どーすんだ?」



カメラを通してこちらの様子を伺っていたのだろう。山本武はチェルベッロに質問した。



「スクアーロ氏は 敗者と なりましたので
 生命の保証は いたしません」



チェルベッロはカメラを通して校舎の中に居る山本武に答える。



「やっぱな
 んな こったろーと 思ったぜ

 よっ」



『!』

「何だよ あいつ」

「まさか 助ける つもりじゃ ないだろーな」



ベルとマーモンの声に答えるかのように山本武は言う。



「普通助けね?」



『!!』



スクアーロを担ぎ出そうと、腕を自分の肩に回して、山本武はよろめきながら立ち上がる。ボロボロの体で。



「げっ」



しかし階下には既に血の臭いに反応してやってきた、大きなヒレを持つ獰猛な海洋生物、つまり鮫が待ち構えていた。



「ハハッ おっかねー
 でもまだ 届かねーさ」



スクアーロを担いでやっと立っている状態だと言うのに山本武から零れた言葉は強がりだ。



   ズン

   ガラガラガラ




しかし、そうも悠長なことを言えなくなったのだ。



   ザバンッ



どうやら鮫が柱を思い切り攻撃したらしく、脆くなっていた柱はその一撃をくらい砕け、バランスを崩した山本武たちが立っている床が、海面となっている、鮫が泳いでいるその高さまで落ちたのだ。


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