雨の勝負の結末(1/3)
((かわした…が、まだね……))
「で
どーした!?」
とはかわされたスクアーロの言葉だ。まだその裡に余裕が伺える。
ズァア・・・
スクアーロが急遽方向転換して ガキン とスクアーロの剣と山本武の刀が交わる。
ザッ
間合いをとったのは山本武の方だ。しかしスクアーロは「とどめだぁ」と山本武に襲い掛かる。
スクリーンの映像には山本武はスクアーロの後の頭上に跳び上がって刀を構えている。
((!))
でも……
スクアーロの剣に……
「死角はない!!」
カチン
あたしの思惑とスクアーロの言葉と無機質な音。その三者は一瞬の狂いもなく重なり合った。
ズッ・・・
手首から折れるように反転したスクアーロの剣は山本武の胴を突き刺す。
ドバシャッ
そのままスクアーロに大量の水が襲い掛かる。
水に呑まれたスクアーロ……
まさか…
画面に映し出されたのは、後を振り返るスクアーロ。
それと、彼の目の前で今にも刀を振り下ろそうとして跳び上がっている山本武。
気付いた時にはもう遅かった。
山本武の体と一緒に重力を纏って振り下ろされた刀の峰は、スクアーロの後頭部を直撃したのだ。
静かに倒れたスクアーロに駆け寄り、山本武は指輪を完成させ、スクリーンいっぱいに満面の笑顔で「勝ったぜ」と映し出された。
「ぶったまげ」
そうだ…
「まさか こんな事がね…」
そうだ、こんなこと誰も想像していなかった……
あのスクアーロが…たかが中学生に負けるだなんて……誰が想像しただろう…
スクアーロ…
……スクアーロ…
『スクアーロっ!!』
あたし目からは、一筋、頬を伝うあついものがあった。
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