雨の守護者の使命(3/3)

 


   ボゴッ



山本武の周辺の床が砕ける。



   ガガガガッ



尚もスクアーロは攻撃する手を止めない。



   ズガアッ



遂に山本武周辺の床が砕かれ、剥き出しとなったスクアーロの剣が山本武にいくつもの傷を付けていく。



「散れ」



傷だらけ、血まみれになった山本武がゆっくりと墜ちていく。
それと替わるようにスクアーロが人並み外れた体術で上に上がる。



   ドボーン



派手な音を上げて山本武は水の中に墜ちた。



「鮫の牙-ザンナ・ディ・スクアーロ-…」



ここにきて今日初めてレヴィさんが声をだした。



「ボス……」



やや振り返り、悠々と椅子に座っているボスをちらりと伺う。



「はっ

 何年経っても…
 変わりばえの しねー野郎だ」



しかしボスの言葉は闇に溶け込みそうな程低く小さな音だったので、あたしたちの耳に届く前に闇に攫われた。



「さすがスクアーロ というところかな
 ちゃんと最後に 雨の守護者の使命を 体現している」



マーモンの言葉にスクリーンに目を向けると、振り注ぐ水の中に立っているスクアーロの姿。



『あぁ……

 戦いを清算し 流れた血を洗い流す
 鎮魂歌の雨




「さあ小僧!!
 心臓を 切り刻んで やるぞぉ!!」



スクアーロが見下ろす先に、山本武の姿がある。体は傷だらけでかなり困窮しているのが解る。



「ゔお゙ぉい まだやるか?
 得意の 時雨蒼燕流で  」



なにも喋らない山本武にスクアーロが言葉で責めたてる。



「  どぉしたぁ!!
 継承者は 八つの型すべてを 見せてくれたぜぇ

 最後に 八の型
 秋雨を放ったと同時に 無残に散ったがなぁ!!!」



    ****



例えば運命は何かにより決められていて、あたしたちはそれに従い生きていくのだとしたら。



あたしの運命の歯車が狂ってしまった基点はここなのかもしれない。



12/02/24


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