車から降りるとそこにはもう見違えるほどの宮殿が建っていて、まさに世界史の教科書で見たものにそっくりだった。外も中も豪華すぎて正直ついていけない。



((絶対こんなところ一人で歩いていたら迷子になっちゃうなぁ))



廊下、壁、天井。全てにおいて無駄な装飾はなくしかし、誰が見ても納得のいく程豪華だ。



「さぁ、九代目がお待ちですよ」



守護者の一人に言われて気がつくと目の前には……壁?!



「ここはVONGOLAの中でも限られたごく少数の者と門外顧問のトップ、暗殺部隊の幹部しか知らない九代目の部屋です」

『でもなんで壁なんですか?』

「理由は九代目の命の安全のためです」

「VONGOLA程の強大なマフィアになると、必ず反感勢力がボスを狙いに来ますからね」

『なーる。……でもどうやって入るんですか?扉も何もないのに』

「此処に飾られている絵画に注目してください」



そう言って行き止まりの壁に飾られている絵画に注目する。



「この絵は実は隠し扉になっていて回転するようになっているんです」



ほらね。と守護者の一人がその絵画に持たれて後ろに体重をかけると突然絵が回転してさっきまでいた守護者がいなくなった。そして絵は違うモノになっていた。



『わぉ、すごいね』

「それではローザさんも中へ。」



あたしもさっきの守護者を真似して絵にもたれかかるように体重をかけると、絵が回転して支えを失った体がよろけて転んでしまった。



「ははははは、いらっしゃいローザ」

『あ、はは。どうも……今日和?あなたが九代目…ですか?』



あたしの目の前の書斎に座っているのは、目元の優しいおじいさんだ。とても大VONGOLAのボスになんて見えない。



「人は見かけでは判断できないよ」

『ぇ?』

「すまないね…。君の反応が可愛くてね。思ってること全部顔に書いてあったよ」



ウソ!と思い顔を袖でゴシゴシ拭いていると九代目はそんなあたしを見て笑っていた。でも馬鹿にするとかそんな笑いじゃなくて、微笑むだとかそんなあったかい笑いの方。
しばらく九代目と他愛もないことを話していたら、「ウォッホン」というあからさまな咳ばらいを守護者の人にされ、話を改められた。しかし九代目の御蔭で大分緊張が解れたようだ。



「それじゃあ、本題に入るよ」

『はい』

「今回君をいきなりVARIAの幹部に抜擢したのは他でも無い私と沢田家光、そしてVARIAのボスであるXANXUSだ
家光は君も知っているね?」

『――はい。』

「十代目候補である綱吉くんの父親でもあり、門外顧問のトップだ。彼や綱吉くんそれに綱吉くんの家庭教師のリボーンくんを通して君の情報は常に私の方に入って来た。そして君の戦闘力やスタイル、身のこなし全てをかってVONGOLAに雇った。」

『でも、どうしてVARIAなんですか?』

「君は解りが良くて助かるよ。
君にはVARIAじゃないと生活出来ない」

『……え?』

「いや、正確に言うと..XANXUSがね君が欲しいって聞かないんだよ」

『……XANXUS…さんが』

まぁ それだけでは無いんだけど…



まさかあのVARIAのボスであるXANXUSさんにかわれてるとは微塵も思わなかった。だって"泣く子も黙るVARIA"だ!そのなかでも随一に怖く強いボスであるXANXUSに、だ。予想もしていなかった言葉に九代目が何と答えたのかなんて聞こえなかった。



…だから

「君を正式にVARIAの幹部に、丁度席の空いている、雲の幹部に任命する。」



そういうと九代目は頭に炎を点しそこから一筋の炎を指に点しながら紙に移した。
しかし、紙は燃えることはなく、九代目の額と同じ橙色の炎を点している。



((これがあの……死炎印……))

「さぁこれをもってVARIAの城へ行っておいで」



手紙をVONGOLAの封筒に入れ廊を垂らし印をしたものをあたしに差し出した。



「さぁ、ザン君にこれを渡しといで」

『……ざ、ザン君?!!』

「そう、ザン君に」



何と言うか。あのXANXUSさんを"ザン君"呼ばわりするとは....さ、流石九代目だ。怖い物知らずというか何と言うか。


改めてVONGOLA九代目の凄さを違うところから再確認出来たローザだった。


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