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談話室で寛いでいるといきなりドアが荒々しく開き、入って来たのはバックに憤怒の炎を宿すXANXUSだった。



「来いカス鮫」



いつもにまして低い声が、彼の今の心境とこれからオレの身に降り懸かってくる災厄について物語っているようだ。

っくそ……何かしたかぁ?

とりあえず、これ以上彼の火に油を注がないよう、ソファから立ち上がり大人しく着いていくと、たどり着いたのはXANXUSの書斎だ。
任務の報告なんかでちょくちょくは来るものの、こうやってついて来たのは、オレがVARIAに入隊してからでも初めてのことだ。

奴はオレを書斎に通すと、自分は目の前の豪華でアンティークそうな作りの机の椅子に悠々と座り込み、開口一番



「ローザに何処まで話した?」



と聞いてきた。

オレは一体何を言っているのか解らなかったが、直ぐにさっきの、ローザが庭で見付けた扉に関するオレの説明を指しているのだと気付く。



「ゔお゙ぉい!待てぇ。オレは核心は突いちゃいねぇぞぉ!!」



しかし容赦なくXANXUSが手にしたグラス(氷+酒)が飛んでくる。
こんなものいとも簡単に避けることなど造作も無いが、オレのM心がオレが避けることを赦さなi‥



違ぇ!!!

「何が、違うんだ?」



XANXUSの真紅の瞳がオレを捕らえて放さない。

どうやら、オレはさっきの心のノリツッコミが口から漏れていたらしい。



「いや、そういうことじゃねーんだぁ!」

「何が違うんだ?ローザに何処まで話しやがった?」



オレは別にM心など持ち合わせていない!
さっきのグラスだって避けようと思えば、いくらでも避けられるんだぁ!
しかしなあ、オレがまだ若かった頃。やはりXANXUSのグラスの標的はオレだけで。ある日、ひょいっと交わしたら、それはもぉ凄まじく怒り狂ったボスが城を半壊させたからなあ!それが恐ろしくてオレはみんなからも懇願され、今後XANXUSのグラスは避けないと誓ったんだぁ。

ん?やっぱオレMっぽくねーか?
断じてMでは無いからなッッ!!今ここで忠告しとくがっ!



まあそんなオレの主張をこんな貴重なスペースで熱弁しても読者に悪いだけだな。第一、XANXUSには言ったところでグラスが飛んで来なくなる日など無いので始めから語らないが。



「ローザには……」



オレを捕らえる双方の瞳がギロリと光る。



「……お前に妹が居て、その妹が8年前に急に9代目によってジャッポーネにとばされて、それに怒り狂ったXANXUSが倉庫をかっ消し、" ゆりかご " に繋がんだぁとまで」



机の上で両肘を付き、口の前で手を組んで考え込んでいるXANXUSをちらりと見て様子を伺う。

っく……この無言がなんとも悍ましいぜぇ…

数分間の深い沈黙の中、XANXUSは顔をあげ、再びその真紅の瞳でオレを見据えた。しかし、オレの目には紅い二つの瞳の後ろに般若が見えた。



「話し過ぎだ、カスっ!」



至ってシンプルな言葉の裡に「ローザが気付いたらどーすんだ」と言う彼の憤怒が籠められているのが理解できた。
だってほら、片手に恐ろしいものを構えているではないか。
心なしか コオオオオッ っと言う音も聞こえてきた気がする。



「まっ…待て!XANXUS!!それだけはやめろぉ!!!」



オレの悲痛な叫びは彼には届かなかったようだ。
奴はそのままソレをオレに向かって放つ。
オレは瞬時に部屋を出ようと180度回転したが、彼の攻撃の方がオレの反射速度を上回っていたらしい。



一瞬間後。
すさまじい爆音とともに、大半が破壊されたXANXUSの書斎。ちろちろと登る爆煙に、所々黒く焦げた装飾。



オレが目を開けた時には既に目の前にはXANXUSが居なかった。



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