5‐1
あの日から、もう一年以上も経ちます。
自分の中が空っぽになってしまうような衝撃を受けても、たくさんのなみだを流してもう立ち上がることはできないように思っても、私はここにいます。
それは、少し不思議なことのような気がします。
しかし今なら、私は間違いなくこう言うことができます。
あの夜、なにをするにもまず心の基本となっていた夢がなくなって、すべてを見失ったと思っていました。
でも実際は、長い間見てみぬふりをしてきたことに向き合うことで、私は多くを得たのです。
私はこの一年、ずっと考え続けてきました。
そして考えれば考えるほど、あの夜に気付いたことは正しかったと自分でも納得することができるようになっていきました。
また、そこから、今まで自分に対して疑問に思っていたことが少しずつ分かっていったのです。
最後に、その話をさせてください。