- ナノ -


516

 薄く繊細な絹の生地にふんわりと包まれるように、春の日差しは優しくて柔らかい。その日差しを感じながら少し霞がかった空を飛んでいると、そのまま空気に溶けていってしまいそうな心持ちになる。
 気がつけば、とろんと欠伸をしていた。少し休憩しよう。竜はゆっくりと羽を畳んで、地面に降りたった。


[