- ナノ -


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 大粒の雪は、突き刺すような冷たさの雨に変わった。なんとか家に辿り着き、彼は着ていた外套を、竜は翼を、それぞれ暖炉に翳す。体とか服とかが濡れたらさ、と彼はぽつりと呟いた。こうやってすぐに乾かそうとするのに、心が濡れたときには我慢しちゃうもんなんだよね。僕たちって。
 竜はその場から動かなかった。ただ、その長い尻尾を、そっと彼に寄り添わせた。


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