- ナノ -


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 あれ、と彼が指差した先には、ほわほわとした一片の羽のような巻雲。ああいう雲はね、鳥みたいな翼を持つ大きな竜が落とした羽って言われてて、見つけるといいことが起こるんだって。
 もしあの羽雲に触ることができたら? と竜は悪戯っぽく笑った。それはもう、とんでもなく素敵なことが起こるかもね、と彼。では試してみるか。竜は彼を背に乗せて、ひらりと空に舞い上がった。


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