- ナノ -


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 俺もさ、竜に乗って旅に出たいんだよ。その街で最初に会ったとき、彼はそう言っていた。それならそうすればいい、と竜が言うと、いや、いま自分は仕事が忙しいからさ、と彼はこたえた。次に彼に会ったときには、旅の準備をしたり知識を身につけたりしてるところさ、と言っていた。それから随分経ち、最後に彼に会ったときには──俺もさ、竜に乗って旅に出たかったんだよ。そう言って、遠い目をしていた。


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