- ナノ -


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 竜の保護区、と竜は聞き返した。彼は頷く。そして言った。無闇矢鱈と竜を殺す人間が後を立たないが、今残っている竜の殆どは、自ら人に危害を与えることもない。竜たちを守るために、国の取り決めでここを保護区に指定したのだ、と。
 眼前には、竜たちのための美しい大地が広がっている。しかし竜は、何とも言いようのない切なさと寂寥感が胸に去来するのを感じていた。 
 

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