- ナノ -


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 彼は竜に、一通の手紙を手渡した。遠い街にいってしまった想い人に届けてほしいという。竜は彼の願いを聞き入れ、数日をかけてその街まで飛ぶと、彼の想い人を探して手紙を渡した。彼女はそれを読んで涙を流していた。
 それから随分経ったある日。竜は他の竜から、彼女が家族と離れて彼の住む村へ戻ったことを伝え聞いた。二人の幸福を、竜はそっと願った。


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