- ナノ -


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 あれはいつだっただろう。雨の降る日、近くにいた一匹の猿が、雨避けに葉をくれたのだ。竜に葉は小さく、全身濡れてしまったのだが……
 この木の葉ならわたしでも傘にできそうだな、と竜は目の前の木の葉の大きさに驚いて言った。試してみたら、とくすくす笑いながら叢から出てきた竜たちは、すでに、葉を傘にして差している。少なくとも頭は守れそうだ、と竜は呟いた。


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