- ナノ -


395

 長靴で踏んで毬を取り、包丁で鬼皮と渋皮を丁寧に剥いていく。今年も栗の季節がやってきた。これほど頑丈に中身が覆われているのに、人間はよく栗を食べようと思ったな、と竜。僕もそう思う、と彼は肩を竦めた。でもおいしさは保証するよ、と笑う。
 今晩は栗飯だ。少し食べてみる、と彼に問われた竜は、もちろんと嬉しそうに答えた。


[