- ナノ -


388

 君たち竜は美しい。そう言う彼の手には、光に煌めく宝石の小さな塊があった。僕は君たちの姿を表現したい。ただそれだけなんだ。
 竜は彼の工房を見回した。大小様々な、色とりどりの宝石から作られた竜の像が、無造作に並んでいる。鱗の一枚一枚まで繊細に彫り込んであった。彼の作品は高値で取引されていたが、彼にはどうでもいいことのようである。たったひとつの、納得のいく竜を作り上げるまで、彼は決して手を止めないだろう。


[