その1
- ナノ -


先生の配慮 1

 使わない電気製品は、スイッチを切るだけではなくコンセントを抜く。いらないプリントや裏の白い広告は、すぐに捨てずにメモ用紙としてもう一度使う。必要のないものは買わない。シャンプーやリンスをするときはシャワーを止める。
 最近私が気をつけている、環境のための小さな行動だ。そんなことをしてもたいして状況は変わらないだろうと思わず考えてしまいそうになるが、本やテレビの番組などで私たちを取り巻く環境を知るたびに、私はぞっとなって何かをしようと思う。温暖化や森林伐採、酸性雨など、環境を巡る話題は尽きることがない。しかもそれは人間だけを襲い破滅に向かわせるものではないのである。そう考えると、小さなことであっても、私たちは一人一人が何かをしていくべきなのだ。
 しかし実際は、問題が大きすぎてなかなか行動に移しにくい。環境のことは今や、本やテレビなどのメディアだけにとどまらず、教科書にも取り上げられるようになった。だからその悪化を知らない人はほとんどといっていないだろう。問題はそこから先。少しでも関心を持つことができるかどうかだ。せっかく環境が悪化していることを知っていても、「ふーん」と思うだけで何も興味を持てなければ、それはただの知識になってしまう。「誰かがやってくれる」「自分には関係ない」……無意識にそう思ってしまうこともあるだろう。私たちが環境について学ぶのは、現在の状態を知って、みんなで解決していく必要があるからである。
 とはいったものの、私も数年前まではまったく環境のことには興味がなかった。そして具体的に何かをやっていくことなんて、まるで考えたことがなかったのである。そのころの私の関心はもっぱら本だけにあった。本に関わっていて毎日を普通に過ごせればそれでよかった。
 本と環境。
 環境のことについて書いてある本は多いが、分野別にみるとあまり関係のない二つの事柄。しかし私にとって、この二つは切り離すことのできないものでつながっている。それは私が環境に興味を持つようになったきっかけでもある。
 本にしか興味を持たずに、まわりのいろいろなものをよく見ようとしなかった私。そんな私と、環境についての興味の出会いを、今回は書いてみたいと思う。



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