- ナノ -


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 ねえあれ、なんだろう、と人の子が月を指差す。今宵は満月。月はいつもより明るく、大きく輝いていた。その月を黒い影がひとつ、横切ってゆく。驚いた、と子の父は言った。あれは竜だ。翼を羽ばたかせているのが見えるかい。子がこくりと頷くと、父は彼の頭をなでた。夜の帳が竜を再びその裾に隠すまで、二人はその姿を静かに見守っていた。


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