- ナノ -


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 彼女は瞳を輝かせて革と革を縫い合わせる。いったい何を作っているんだ、と竜。これは竜鞍よ、と彼女はこたえる。きみたちともっといっしょに空を飛べるひとが増えたらいいなあ、って思って。たしかに、鞍があればいくらか乗りやすくはなるだろうな。そう言って竜は頷く。ちょっとご不便おかけするけど、よかったら、背中に鞍を置かせてもらえるとうれしいなと彼女は笑った。


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