- ナノ -


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 机に向かいながら、彼女はぱくぱくと砂糖菓子を頬張っていた。竜はややあきれた顔で彼女を見ている。竜の視線を感じたのか、彼女は書き物をしながら言った。甘いものを食べてると仕事が捗るのよ。それにしても食べすぎでは、と竜。彼女はそこでやっと竜の方を振り返った。君は甘いもの嫌いなの? 竜はぎくりとした。その顔には明らかに、好きです、と書いてある。それなら、とやかく言わないこと。彼女はにやりと笑うと、砂糖菓子の包みを幾つか竜に差し出した。


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