- ナノ -


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 雲多いなあ、と背中に乗る人間が呟いた。彼の言葉どおり、空はすっぽりと雲に覆われている。竜は頷きつつも、言った。このあたりの雲は明るい白色をしている。もう少しすれば晴れるだろう。地上に降りて彼らが休憩していると、雲は次第に切れ始め、青空と太陽がのぞいた。再び飛び立つ頃には、もうほとんど雲の姿はなかった。よくわかったね、と人間はすっかり感心している。竜は晴れ渡る空を、心地よさそうに翔けていった。


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