- ナノ -
261
暮らし慣れた街を離れたとき。世界をめぐる旅に出たとき。いつの日もはじまりは静かだった。これから出会う喜びや悲しみの全てを内包しているような。一方で、何も描かれてはいない真っ白なキャンバスのような。竜はひとつ、深呼吸をした。ここからまた新しい風がはじまる。ゆっくりと開いた翼に力を込め、竜は飛び立った。
[
←
〇
→
]