- ナノ -


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 人の子が桜の木に向かって手を伸ばしていた。幼き子ゆえ、その花びらに手は届かない。竜はしばらくその様子を見ていたが、やがてゆっくりと、前脚で子を抱え上げた。人の子の手に、薄紅色のやわらかな花が触れる。子は1度、そっと花をなでると、うれしそうに笑った。春風がひとつ、やさしく吹き抜けていった。


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