- ナノ -


190

 太陽のひかりが燦々と降りそそぐなか、海の上を飛んでゆく竜のそばには、いつしかたくさんの鴎がやってきていた。竜の生み出す風に乗って、鴎たちは声を交わしながらすいすいと飛んでいる。竜に鳥の言葉はわからない。けれどもいま、竜には彼らの言っていることがわかるような気がした。心地よさそうに翼を広げる彼らに囲まれながら。


[ ]