- ナノ -


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 なんでだろうな、と彼は言った。こうやってさ、雲ひとつない秋の空を見上げてたらさ、なんか不安になることがあるんだよ。竜は人と同じように空を仰いだ。晴れ渡っている。何も、と竜は言った。何もない感じがするからじゃないか。かもな、と彼は唸った。あまりにあっけらかんとしてやがる。
 早くも冬の冷気を帯びた空気が身に刺さる。そのなかで、空はしんと静まり返っていた。


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