- ナノ -


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 自然の脈動に敏感な竜がいた。嵐の訪れ、地震の予兆、火山の噴火。ありとあらゆる災害を感じ取って、彼は人々に知らせた。しかしそのうち、人のあいだに、災害はその竜が呼び寄せているのだという噂が広まった。竜は恐れられ、疎まれ、やがて人々の手で屠られた。災害は止まない。人はそれを、今度は竜の祟りと呼んで怖がった。


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