- ナノ -


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 竜なんかいたって信じてるのかよ、と友人は彼をからかった。本の読みすぎだね、と別の友人も笑う。彼は少し困ったようにほほえんだ。でもなあ、なんか、いなかったにしてはリアルなんだよなあ。呟いて空を見上げる。飛行機が横切るだけだ。だが彼にはありありと想像できる気がした。竜が翼を広げて飛ぶ姿を。


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