- ナノ -
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熱い風が駆けてゆく季節も過ぎ、彼女と竜は吹き抜ける爽やかな風を感じながら海を眺めていた。この世界には一年じゅう夏みたいな場所もあるんだよね、と彼女は言った。竜が頷き、こたえる。そこでは、ずっと太陽が照りつけていた。だが人々も元気だった。まるで、夏のように。
暑いのは苦手だけど、と彼女は言った、それを聞いたらちょっと行ってみたくなっちゃうな。遥か水平線の向こうの、その場所、その人々を見るように、彼女は目を細める。
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