- ナノ -


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 何もかも終わらせてしまいたくなる日があった。明日なんか来なくていい、そう思った。竜は大地を蹴ると、空に深く潜りこむ。青空はやがて燃えるような橙になり、浅い紺から濃紺へと移ろう。星々が輝きだし、月は笑い、竜は飛び続けた。そして朝が来た。竜はしばらくその場ではばたき、海の向こう、遥か水平線から昇る太陽を見ていた。生きよう、と、竜は思った。


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