- ナノ -
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子どものころから、その絵は飾ってあった。凛々しい竜と深く眠る竜を描いたものだ。竜なんて空想上の生きものでしかない。そのはずなのに、なぜか、満ち溢れるような生命力が絵から伝わってくる。母親に聞くと、その絵は、彼女が物心ついたときからすでにあったものらしい。遠い先祖の作という。
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