- ナノ -


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 その竜は、全てが機械でできていた。人がちょうど抱きかかえられるほどの大きさ。竜が身をかがめて機械の竜と目を合わせると、彼は言った。ボク、いつかほんものの竜になるのが夢なんだ。なれるかな。笑うことのできない鋼の口元が、緩んだ気がした。人の手で作られた竜は、それでも、彼の命を生きている。
 

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