- ナノ -


117

 まあ、いつかこうなるとわかっちゃいたさと彼は言った。確かに、おれは竜に乗って速く飛ぶことにかけちゃ、ちょいと自信がある。だがな、自分が一番になれればなんでもよかったのかもしれねえ。そんな奴が……ほんとうに竜乗りが好きで好きでたまらねえ奴に、敵うはずもないぜ。
 長年、竜乗りの競走で優勝し続けた男が、その日競技場を去った。新たな勝利者は、竜と共にお互いの最善を尽くして飛べたことで、満ち足りた表情を浮かべていたという。


[ ]