決意の夜
あまりにも美しい思い出をふりかえっては泣いていた。
その思い出の先にあるはずだった未来は、
壊れてしまってもう二度と来ることはない。
あまりにも簡単にひとつの願いは打ち砕かれる。
未来とははかないものだ。
希望を抱いては絶望する。
この繰り返しに、何の意味があるのだろう。
だが、もしもあのとき歩くことをやめていたのなら、
私はこの思い出にさえ出会うことはなかった。
希望を抱き、絶望したとしても、
それでもなんとか歩いたから、
私は大切なものに出会えたのだ。
それなら今、ここで歩みをやめることは、
それは、私にとって本当にいいことなのか?
ここで立ち止まることは、
ここから出会うべき何かに背を向けて
一生をすごすということなのではないか?
それで私は後悔しないのか? 本当に?
……涙を。
涙を流しながら、思った。
泣くのはこれで終わりにするんだ、と。