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- ナノ -


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 たしかに竜より生きてられる時間は短いけど、と彼女は言った。だからこそ、私は何かを残そうって思えるのかもなあ。描きかけのキャンバスには、カラフルな鱗を持つ竜。見るだけで、ふしぎと元気がみなぎるようだ。竜くらい長生きだったら、私きっとサボっちゃうもん。てへへと笑う彼女を、竜は好もしく思った。


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