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- ナノ -


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 それじゃ、うんと昔、竜はきみのほかにもたくさんいて、おそらにもいっぱい飛んでたの、と少年は目をまるくした。竜はうなずく。竜たちが空を飛ぶのを思い描くように目を閉じた少年は、しばらくして言った。ぼく、生まれ変わったら竜になるね。きみといっしょに、おそらを飛びたいんだ。竜は驚いたように少年を見た。そしてもういちど、うなずいた。その目は少し潤んで、笑っているようだった。


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