- ナノ -


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 ううん、びくともしないや。人の子は竜を少しでも持ち上げようとしてその腹に手を回したが、竜は大きく、重かった。ちょっと前までひょいってだっこできたのに。少し寂しげな子に、竜は言う。いっぱい抱っこしてもらったから、これからはいっぱい抱っこしてあげる。
 竜は前脚で子を抱えて身を寄せた。竜にすっぽり包まれた子は、はにかみながらも嬉しそうに、ありがとうと笑った。


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