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 その街の中央には巨大な竜の像が聳え立っていた。鱗や角の光沢、翼の伸びやかさなど、どれをとってもまるで命が宿っているかのようである。竜が好きで好きでたまらなかった人間が、その生涯と財産の全てを賭して作り出したものらしい。像は街の者にも愛され、念入りに手入れされて今に至るという。
 旅人の間では、その街に行くなら竜を目指せ、が合言葉になっているとか。


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