- ナノ -


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 竜は陽だまりの中で昼寝していた。と、顔に温かくて柔らかいものが何度も当たる感覚。目を開けば、愛らしい黒い瞳をした犬が、竜をひたすらに舌で舐めていた。
 人間が駆けてきて、謝る。ごめんなさいね、その子、竜が大好きで。微笑んだ竜に、犬はますます戯れる。その尾は千切れんばかりに揺れていた。


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