- ナノ -


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 老いるのは辛いもんじゃの、と長生きの翼竜が竜に微笑んだ。この通り、もう飛ぶこともほとんどままならん。近頃は眠ってばかりじゃ。
 翼竜の羽は随分はりを失い、ところどころ切れ目も目立つ。しかし竜には、その羽が多くの風をとらえて翼竜を運んできたことがありありと伝わってきた。どんな旅を、と言葉が転び出た。翼竜は再び笑った。では少しだけ話そうかの。長くなりすぎぬように、と。


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