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 竜は、竜たちと穏やかな時間を過ごす彼を見て問うた。竜と共に暮らしたりはしないのか。彼は答えて言った。竜は人より長く生きるだろ? 俺が死んでもその竜のことを見てくれる誰かがいればいいが、確かなことは言えない。竜に対する責任を果たせるか自信がないんだ。
 彼は目の前の仔竜の頭を撫でて言葉を続けた。だからこうして、たまに竜たちとの時間を持てるだけでいい、と。少し寂しげで、限りなく優しい目をして。


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