あたらしい道
2021/08/29 19:07
気がつけば、ひかれている。
あたらしい道。
まだ見たことのない景色。
行ったことのない場所。
味わったことのない食べもの。
気がつけば、またひかれている。
まだ見ぬひとたちとの出会い。
知らない街に吹く風。
聴いたことがない音楽。
ほんとうには知らなかった言葉の意味。
こわい、そう思う気持ちがないわけではない。
むしろ、こわいものだらけなのに。
それでも、どうしようもなく心をひかれてしまう。
ここに居続ければ少なくとも、どうなるかは見通しが立つ。
先の見えない不安はない。
それなりに生きてゆくこともできるだろう。
けれど、それでも、知りたいと思ってしまう。
あたらしい道の先に何があるのかを。
胸の内側をかき乱されるような強い衝動。
それでいて儚くも甘美な香りを持つ希望。
おそれずに歩き続けることはできないだろう。
昔からそんなに強くはなかった。
しかし、飛び出すことをおさえる方が難しい。
あたらしい道が目の前にあるのに。
自分をより生かすことのできる道はどれか。
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